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[著者] 大西康之氏
[おすすめ度] ★★★★★
[読みやすさ] ★★★☆☆
[知識習得] ★★★★★★
[ひとこと]
私自身の生業もあり、2017年のマイベストビジネス書だと思われます。
下記8社の俗に言う電機メーカーについて、経営を軸に著者の30年に渡る分析と考察が書き込まれています。
該当会社の社員は無論、投資家から他業界の経営者やビジネスマン、学生まで誰が読んでも得る物が多い一冊ではないでしょうか。
業界知識に慣れている人間には一気読みの名著ですが、門外漢の方には時間はかかるかもしれません。
これほど専門的かつ文才ある著書を私がまとめるのもおこがましいので、この書評では各企業への論調について端的に述べておきます。
読者の興味が少しでも助長されればと。
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・東芝
徹底的な悪として書かれている。
東芝崩壊の中枢である原発を粉飾するために別の粉飾決算を使い、それすらあくまで「不適切会計」と呼んでドジっ子ぶるあたり、確かに筋金入りの悪である。
皆さんがニュースで聞いている100倍、技術や経営、ビジネス状況について書きこまれているが、ニュースと変わらない点は、やはり東芝は終わりのようである。
原発事業はその歴史も関わり税金で支えられているため、「終わり」の定義も多義にわたり、またここでも悪を感じざるを得ないが。
※本書は当然実名で特定の経営者たちを批判または賞賛しており、また強調すべき点は、あくまで「経営者」について悪だ何だと描かれています。
一般社員を一括りにして批判するほど安い識者では当然ありません。
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・NEC
徹底的な無能として書かれている。
本書のタイトルと反し実は賞賛されている企業も複数あるが、「この本はこの企業のために書いた」とばかりに完膚なきまでに批判されている。
日本企業凋落の象徴、IT大手で唯一の減益予想だが見慣れておりもはやニュースにもならない等散々に書かれている。
また、この8社ならば最後の章に書かれるべき企業がなぜ2章なのかと不思議に思ったが、この後の章でも度々「最悪の例」として登場する特別扱いである。
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・シャープ
今までのシャープが消え、鴻海によって奇跡の復活を遂げたストーリーが濃厚に書かれている。
特にこの章では日本の技術という「幻想」について書かれており、日本人としても非常にインプットの多い章である。
奇跡の復活を遂げたシャープ。
株主は鴻海に感謝感激であろうが、去った社員も残った社員も果たして。。
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・ソニー
消えることなく長いトンネルを抜けて復活した企業。
リカーリングビジネス等、技術に加えビジネスについても学ぶ点多々あり。
創業家との確執や課題点も書かれてはいるが、1章の東芝と2章のNECで完全に麻痺しているため、何を書かれても「応援」程度にしか聞こえてこない。
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・パナソニック
ソニーや後述の三菱電機に比べると批判的な論調。
読み進めるうちに事業、会社の構造共に問題の根は深く、株価が冴えない理由にも納得。
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・日立
これほど巨大なグループが消える頃には上述の企業は跡形も無く消えているわけだが、ここも批判色は強めな論調。
著者の言葉を引用すると、「勝ち組と表現されているが、粉飾決算の東芝や、衰退の一途をたどるNEC、液晶一点張りで自滅したシャープなど、比べる相手が悪すぎるだけである」。
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・三菱電機
ほぼポジティブなことしか書かれていない。
実際、時価総額や経営層の年収、就職人気などでも、この10年で上記他社の大半を一気に抜き去っている。
経営の勝因は個人の人生訓にも当てはまると思い、この本で唯一心が癒される章である。
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・富士通
コンピュータの天才の話は記憶に残る。
NECの章に比べて明らかに文章量が少なく、ここを批判するなら…ということであろう。
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以上、個人的には業界、経営、投資、技術とどの側面でも「面白過ぎる」一冊であり、8社全てに知り合いもいるため、至極当然本棚の一軍に飾られました。
私個人を知る方からは私に書いて欲しいことがあるのは重々感じますが…、無益なのでもう書評しか書きません。笑
友人の方は飲みましょう。もう伝えたくて仕方ないことが山ほどあります。笑
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※詳細は画像より
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著者:ひさなお
TOEIC満点、作家、投資家、IT企業グローバル人事、馬券師。
慶應義塾大学→UCLA→大手IT企業。
第3回マイナビ作品コンテスト最優秀賞受賞。
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